先生、ぼく 歌すきになったわ

D.K様

門前式発声法=丹田発声法を学ばせてもらって早いもので5年が経とうとしています。
 去年までは、小学校で担任をしていたのですが、4月に転勤となり新しい小学校では、音楽専科として勤めることとなりました。

授業は、手探りでしたが、子どもたちは、楽しく歌ってくれていましたので、ホッとしました。せっかく学んできた発声も取り入れてみようと思い6月頃から、歌う前に姿勢と丹田の位置を確認して、息をスーッとはくことだけをしていました。そのうちに「あー」と丹田でしゃべることもしましたが、あまり成果は期待せず進めていました。
 それほど大きな変化はなかったのですが、確か、2月に入った頃でしょうか、ふわっと声がよく響いてきたなと感じることが多くなり、一度録音してみて、びっくりしました。ちょうど同じクラスで6月に録音した歌声があったので聴き比べてみますと本当に同じクラスかなと思うくらい違います。6月の録音は、何人かの子の声が大きく出ていて、全体的にバラバラな感じですが、2月の録音は、クラス全体でひとつの音になってきているのを感じました。
 実は、このクラスには、
「歌、苦手やねん。どう歌ったらいいか分からへん。」
と春に私に話していた男の子がいました。確かにその子は、正確に音程を取るのに苦労し、また、元々の声が大きく周りに合わせて、バランスよく声を出すことが苦手なようで、周りの子もその子の声で歌いにくいと感じている雰囲気もあったのです。でも、2月の録音では、その子の声は全体にとけ込んで、全く違和感がありません。そういえば、いつの頃からか、いい意味でその子の声が目立たなくなったなと私も感じていました。時々、授業をのぞきに来て下さる担任の先生も、その子の声は気になっていたようで、この変化を喜んでくださいました。そして、何よりうれしかったのは、本人に自信がついたのか、
「先生、ぼく歌好きになったわ。」
と授業が終った休み時間にわざわざ私の所に寄ってきて、1フレーズ歌って帰ってくれることが何度かあったことです。
 この発声。子どもたちに受け入れてもらえるかなという不安もありながら、春から少しずつ導入したので、この反応は本当にうれしいものでした。
 先日、「6年生を送る会」があったのですが、教頭先生から、
「5・6年生の声の質が全然違いますね。地声の子がいなくて本当にきれいな声ですね」
というお言葉もいただき少しずつですが全体的にりきみのないよく響く声になってきたなと実感しています。
 正直な所、こんなにすぐに成果が出るとは思いませんでした。これも、門前先生、個人レッスンでお世話になっているH先生をはじめ、たくさんの先生方のおかげです。
ありがとうございます。これからもこの門前式丹田発声法の勉強を続けて、子どもたちに歌うことの楽しさを伝えていきたいと思います。
                           

支部講師  H.Y
Dさんは、お仕事帰りの夕刻にレッスンにいらっしゃいます。レッスンが終ると
「気持ちよくなりました。」と、学校のこと、音楽のことなどおしゃべりもまじえて、それは私にとりましても大切なひとときです。
 先日、Dさんが録音された小学6年生の歌声を聴かせていただきました。
 ビフォアー・アフターのテレビ番組ではありませんが、一学期の録音と三学期の再録音とでは、同じクラスのものとは思えないほどに子ども達の声が変化しているのです。
 口びるのリキミがなくなり、息が一本の柱となり、その結果として音程が安定しているのです。子ども達が気持ちよく歌っている姿が目に見えるようでした。
 優しい心をお持ちのD先生の穏やかな声がお手本となっていることは確かです。
“結果をあせらず、そして欲ばらず” 「伝える側が心地よい空気を送ることが大事なことですね。」とおしゃべりをして先週のレッスンを終えました。これからも楽しいレッスンが続きそうです。